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民族的又は種族的、宗教的及び言語的少数者に属する者の権利に関する宣言(少数者の権利宣言)

1992年(平成4)12月18日国連第47総会決議47/135

前文〔略〕
(国家の保護義務)

第1条 国家は、各自の領域内で少数者の存在並びにその国民的又は種族的、文化的、宗教的及び言語的独自性を保護し、また、その独自性を促進するための条件を助長しなければならない。
2 国家は、それらの目的を達成するために適当な立法その他の措置をとらなければならない。

(少数者の権利)
第2条 国民的又は種族的、宗教的及び言語的少数者に属する者(以下「少数者に属する者」という。)は、内密に及び公然と、自由にかついかなる形態の差別もなしに、自已の文化を享有し、自己の宗教を信仰しかつ実践し、及び自己の言語を使用する権利を有する。
2 少数者に属する者は、文化的、宗教的、社会的、経済的及び公的活動に効果的に参加する権利を有する。
3 少数者に属する者は、自己の属する少数者又は自己の居住する地域に関する全国的及び、適当な場合には、地域的段階での決定に、国の立法に反しない仕方で効果的に参加する権利を有する。
4 少数者に属する者は、自已の結社を設立しかっ維持する権利を有する。
5 少数者に属する者は、その集団の他の構成員及び他の少数者に属する者との自由かつ平和的な接触、並びに、自己が国民的若しくは種族的、宗教的又は言語的紐帯によって関係を有する他国の市民との国境を越えた接触を、いかなる差別もなしに樹立しかつ維持する権利を有する。

(権利の行使)
第3条 少数者に属する者は、個別的に及びその集団の他の構成員と共同して、いかなる差別もなしに、その権利(この宣言に定める権利を含む。)を行使することができる。
2 この宣言に定める権利の行使又は不行使の結果として、少数者に属する者に対しいかなる不利益をも生じさせてはならない。

(国家がとるべき措置)
第4条 国家は、少数者に属する者がそのすべての人権及び基本的自由を、いかなる差別もなしにかつ法の前で完全に平等に、充分かつ効果的に行使できるよう確保するために必要な場合には、措置をとらなければならない。
2 国家は、少数者に属する者がその特性を表示しかつその文化、言語、宗教、伝統及び習慣を発展させるのを可能とする有利な条件を創出するために措置をとらなければならない。ただし、特定の活動が国の法律に違反しかつ国家基準に反する場合には、この限りではない。
3 国家は、少数者に属する者が可能な場合にはその母語を学び又はその母語を教授する充分な機会を得るように適当な措置をとるものとする。
4 国家は、適当な場合には、その領域内に存在する少数者の歴史、伝統、言語及び文化についての知識を助長するために、教育の分野で措置をとるものとする。少数者に属する者は、社会全体についての知識を得る充分な機会を持つものとする。
5 国家は、少数者に属する者がその国の経済的な進歩及び発展に充分に参加できるように適当な措置を考慮するものとする。

(国家の政策と計画)
第5条 全国的な政策及び計画は、少数者に属する者の正当な利益に妥当な考慮を払って立案されかつ実施されなければならない。
2 国家間の協力及び援助の計画は、少数者に属する者の正当な利益に妥当な考慮を払って立案されかつ実施されなければばらない。

(相互理解のための国家間協力)
第6条 国家は、相互の理解及び信頼を促進するために、少数者に属する者に関する問題(情報及び経験の交換を含む。)について協力するものとする。

(この宣言のための国家間協力)
第7条 国家は、この宣言に定める権利の尊重を促進するために協力するものとする。

(他の国際文書との関係)
第8条 この宣言のいかなる規定も、少数者に属する者に関して国家が負う国際義務の履行を妨げるものではない。特に、国家は、自国が当事国である国際的な条約及び協定に基づいて負う義務及び約束を誠実に履行しなければならない。
2 この宣言に定める権利の行使は、すべての者が普遍的に承認された人権及び基本的自由を妨げるものではない。
3 この宣言に定める権利の効果的な享受を確保するために国家がとる措置は、世界人権宣言に含まれる平等原則に反するものとみなされない一応の証拠である。
4 この宣言のいかなる規定も、国際連合の目的及び原則(国家の主権平等、領土保全及び政治的独立を含む。)に反する活動を許すものと解することはできない。

(国際機関の貢献)
第9条 国際連合体制内の専門接関その他の機構は、各自の権限のある分野において、この宣言に定める権利及び原則の完全な実現に寄与しなければならない。