誰かと誰かが鏡の前で向き合う様に、
一つの奇跡を2人で分け合ってそこに
恋というフシギ空間が生まれるんだと思う。
今日貰ったチョコレート、貰ったその日に泣いちゃった。
【好き】とか、【嫌い】とか、そういう感情ともちょっと違う。
一緒にいる時の楽しさと、別れた後の寂しさ、切なさ
刹那と刹那の感情の間に閉じ込められているみたいで、
一時間位真っ白だった。
蒼白・・・その子の事しか思い浮かばないなんて、まるで
自分が夢か何かの世界にいるよう。
ううん、本当は認識さえも出来てない。真っ白・・・。
涙がとめどなく零れ落ちて何でこんなに泣くのって思ったけど、
でもそれって想われたっていう安心感なのかもしれないね。
瞼に映る日、映える日、眩しい日。
下らない日常を贅沢に散歩っていう形で潰す日・・・。
その日は好きな子との初デートだったんだ。
誰もいないはずの部屋の、朝髪をとかした鏡に語りかける。
鏡に向かって過去を未来へと語る日、それは未来に生きる貴方にとって
とてもとても大切な日、礎の日。
いつか思い出に浮かぶ今日を噛締めるために
鏡の曇りに片手で【の】の字を書いてみた。
鏡に【の】の字ごしに見えた自分は昔よりちょっと大人に見えた。
のろける日、真っ白な日、雪が降った日。
ほら、冷たいはずの右手が鏡をなぞっているうちに暖かくなって来た
握り締めた左手には微かの汗も感じない
空気は張り詰めているはずなのに、そこに緊張を感じないって何故なんだろう?
安心したから涙が零れたはずなのにね。
甘えられたからこんなに嬉しいはずなのにね。
暖かくなった気持ちが、勝手に体をベッドの中に体を動かす。
天井を見つめる視線、その先にはいつもと変わらない蛍光灯の憂鬱な光。
ぼーっと空気の流れを見つめている自分がいる。
空気なんて見えないのは分かっている。でも空気を見つめている。
そんな瞬間一時まやかしの様な空間に、
落ち着いていない自分が、落ち着いたふりをして時々寝返りをうっている。
時々映る瞳の奥に、何故か見慣れた懐かしい風景がうつっていて
あの子と過ごした時間が、もうセピアの色で染まり始めている。
カッコつけてそういう表現で考えるけど、本当はただただ寂しいだけ。
ぽかんとした空間、そしてその日は複雑な気持ちの午後。
その日その場所その空間だけが、
世界からぽつんとかたぬきされた様・・・。
ぽかんと抜けた日、冬空の下で、
環状八号線は今日も五月蝿く唸る。
ホワイト・バレンタインデー