日常


結婚を控えている私は、新居を探しているのに必死になっていた。
ヤツは全然構えているのか焦る様子がない。全く世話の焼けるヤツ。

ようやく、一緒に住む場所が見つかった。家財道具を運び込み、おままごとのような生活が始まった。
まだ何だか一緒にいるのが恥かしいくらい。これが初々しいっていうのかな?

友人達もちょくちょく遊びに来てくれる。慣れない家事もどうにか様になってきた。
結婚前にみんなが祝いに出かけようと誘ってくれた。

ヤツは普段だらしないかっこばかりしているので、今日は私がコーディネート。
うん。サッパリとしたいいかっこ。こう見るとやっぱりイイ男かな?

ウキウキした気持ちでみんなとドライブ。途中のサービスエリアでトイレ休憩。
ヤツもトイレへと駆け込む。

そこへ私の親友が神妙な面持ちで私の所へやってきた。
何を言いだすのかと思えば、「しっかりしなきゃダメだよ。」
その顔は今にも泣きそう。

何のことかサッパリわからない。

どうしたのかと訪ねると、泣き出してしまった。
私の肩をしっかりと掴み、「圭くんもういなくなっちゃったじゃん。」と泣く。

え?ヤツは今トイレに行ったからいないのはわかるけれど…。

親友は「違うよぉ。しっかり気を持たなきゃダメじゃん。」
どうゆうこと?何が言いたいの??

「もう待ってても帰って来ないんだよ。わかる??」
彼女の言葉の意味がわからない。

今日のドライブは特別な所に私を連れて行く為のものだったらしい。
みんなはヤツの帰りを待たずに、サービスエリアから車を出した。

着いた先はヤツの実家。
実家では年老いた圭のお母さんが出迎えてくれた。
その顔は心なしか疲れていた。
通された部屋には仏壇があった。

既に亡くなったお父さんの遺影の隣にヤツの写真が飾られている。
何の悪い冗談??

怪訝そうな顔をする私にお母さんが言う。
「こんな形で、サキちゃんをお嫁さんにもらってあげられなくってごめんね。」

親まで巻き込んで、何て言う笑えない冗談を。

「サキちゃん、圭を思いつづけてくれる事は嬉しいけれど、サキちゃんも幸せにならなきゃ。」

ひどい。毎日一緒に生活してるのに、みんなしてどうゆうつもり?

「もう半月も過ぎているんだよ。圭が死んでから。わかるサキちゃん?」と友人が声をかけてきた。





だって、今日サービスエリアまで一緒であんた達が圭を置いて来ちゃったんでしょ??


いるはずの人間をいないと言う回りの人間。
誰がいったい嘘つきなの?

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