――……どうだった?
――ふられた。
子供の遊ぶ声が聞こえる丘の上の公園のベンチに座り、俺はフェンス越しに空を見た。
――残念!
悠がそう言っておどけてみせたが顔は笑っていない。告白が失敗するのはわかっていた。
――好きです。
そう言った薫。頭を石で殴られたかと思った。今は目の前が真っ白になるという言葉の意味がわかる。
こんなことになるとは思ってもいなかった。
――誠……
――なに?
――なんでもない……
眉間にシワをよせている。男前が台無しだ。
分かりやすい奴だ。
――まぁ、つぎがあるよ。
空は快晴だ。少し赤みがかかってきた。
後ろで自転車の車輪が回る音が聞こえた。
青い自転車に乗って走っている薫がいた。約束の確認をするために来たのだろう。
俺が見ているのに気づいてか、気まずそうな顔をして俯いた。
――6時半に、そこの公園の奥で待ってるから。
公園の奥には一脚のベンチがある。返事の受け取りには最適の場所だった。
悠はずっと薫を見ていた。そんなに髪をなびかせてるあの後ろ姿が恋しいのだろうか。
――悠。
言わなくてはいけない。このままではおれも悠も後悔する。
――……何?
――いってやれよ。お前、薫のことが好きなんだろ?返事、返してやれよ。
俺がそう切り出すと、悠は驚いた。無理もない。自分の気持ちを悟られているなんて思っていなかっただろうし、まさか見られているとは思うはずも無いだろう。
今日、俺は薫に自分の気持ちを伝える決意をした。そのことを悠にも話した。
薫を待ち伏せしながら何と言うか考えていたとき、薫と悠が向き合う形で立っていた。
――好きです。
気づいたときには二人から見えないように隠れていた。
それから薫は返事を受け取る場所と時間を言った。
足がバランス感覚を失っていた。それでも、伝えなくてはいけないと思った。
――何してんの?
そんなことを言いながらいつのまにか薫は俺の前に立っていた。俺は運がいい。
――突然だけど俺、薫のこと好きだから。これだけは伝えておきたかったから。
薫はただでさえ大きい目を見開いていた。
おれは薫から見えないところまで歩いた。それから俺は携帯電話で悠を公園に呼び出した。
――悠。友達想いもいいけどさ、もっと自分の気持ちを大事にしろよ。それに、いかなかったら俺、お前をぶん殴るよ。
俺は笑いながら言った。悠は少し俺に微笑んでから公園の奥へ小走りでいった。