茶林感想 『意思の尊重』


【作品名】意思の尊重

■物語・構成
 プロット的には1000字小説というより中短編的な趣が強い作品です。上手く1000字以内で構成してはいますが、全体的にかなり詰め込みすぎという印象です。
 構成事態は秀逸と思えるもので、また生前葬という題材の選び方も面白いと感じます。

■文体・文法
 心情描写を省いて事実関係のみで淡々と進ませていますが、心情描写を混ぜると文字数が足りなくなるから削ったのではないか、という側面も読みとれます。
 一つ一つの文章は情報提供とものがたりの進行でほとんど占められており、よくも悪くもタイトな話運びになっています。

■描写・演出
 練り込み不足、描写不足に感じる部分が大きいです。五島が生前葬を引き受けるまでの心の動きや潔の心情理解といった点に不満が残りました。1000字という範囲内では文字数を費やせないという実状はありますが、本作品においては大事であると思われる部分だけに残念です。

■総評
 素材そのものと料理の仕方は秀逸であると思われるのですが、書くべきことの分量が膨大すぎて余裕が感じられない、といった印象の作品です。構成と題材に惹きつけられるものがあるので多少の傷は気になりませんが、だからこそもったいない、という気持ちもあったりします。

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