■物語・構成
既存の世界観(この場合は王道的中世ファンタジー世界)をパロディ化して面白みを出すという構成の作品。この手法を用いた作品は様々にありますが、本作の場合はモトネタが王道的中世ファンタジー世界、それもいわゆるライトノベルと呼ばれるジャンルのお約束をパロディ化したもので、面白みを感じられる客層が制限されてしまう、という欠点があると思われます。
全体を一人称語り口調で構成してあるので、情報の出し方でどのように惹きつけるかが構成上のポイントになったと思うのですが、全体を通して強い印象は受けませんでした。また段組に練り込み不足が見受けられるような気がします。
タイトルが上手い。個人的に好きなだけだろうというツッコミはなしの方向ですが、読んでみようかと思わせるタイトル付けは、お笑い系小説では特に重要であると思います。
■文体・文法
軽妙で語り手の投げやりな感じがよく伝わってくる文体。作品自体と上手く噛み合っていると思います。
段落の付け方に少し違和感を感じます。話が大きく変わる”はいはい、剣でやられなきゃいけないんでしたね”のところに段落を付けず、次の句点で段落を付けている。これは意図的に行ったものであると思われますが、読みやすさという点ではよい効果を上げているとは思えない気がします。喋り言葉風に書いているからということもありますが、段落の付けてある部分と付けていない部分の区別が不明瞭なことが原因かもしれません。
■描写・演出
一人称語り口調なので主だった描写の特徴はありません。文体を用いての語り手のキャラクタ性の描写は上手く機能していると思います。
■総評
パロディ作品なので読み手を選ぶという難はありますが、内容においてはまとまった面白さを出せているのではないかと思います。ただ全体的にツッコミ不足の感は否めず、また切り方やツッコミそのものの技術が甘いので大爆笑とまではいきません。具体的にどうすればいい、ということは言えませんが、まだまだ研究の余地ありだと思います。