経過報告と取り組みの意義
1、看護師 村上優子さんの過労死認定 裁判を支援する会
村上優子さんの死亡を公務災害(過労死)と認定させることと、国の安全配慮義務違反を認めさせ裁判に勝利するために2002年7月30日に「支援する会」を設立させました
1)会則
(名称) 本会は、看護師・村上優子さんの過労死認定・裁判を支援する会(略称:村上過労死認定・裁判を支援する会)といいます。
(目的) 本会の目的は、村上優子さんの死亡を公務災害(過労死)と認定させること、国の安全配慮義務違反を認めさせる裁判に勝利することです。
(活動) 本会は、前項の目的達成のために、要請署名、会員の拡大、集会・宣伝活動、国会議員要請、など広く世論に訴える活動と関係機関への働きかけの活動を行います。
(運営) 本会は、活動を進めるため次の役員を置きます。会長、副会長(若干名)、事務局長、事務局次長、幹事(若干名)。また、日常業務を進めるために事務局を置きます。各役員は総会で選出します。
(総会) 本会の総会は、原則として年1回開催し、活動方針・役員選出・財政報告を行います。
(財政) 本会の経費は、個人会員(1口年1,000円)、団体会員(1口年3,000円)、カンパ・事業収入等とします。会計年度は7月1日〜翌年6月30日までとします。
(所在地) 本会の事務局は、大阪市中央区谷町7丁目2番2−204号 全医労近畿地方協議会内におきます。電話06−6768−6531
2)役員体制
会 長 脇田滋(龍谷大学法学部教授)
副会長 中田進(関西勤労者教育協会)
  梶山代子(大阪労災職業病対策連絡会会長)
  重田博正(大阪民医連社会医学研究所主任研究員)
  植田保二(大阪労連議長)
事務局長 仲村幸治(全医労近畿地方協議会)
事務局次長 川本清(全医労大阪地区協議会)
  神谷隆文(大阪労連事務局次長)
  向井和昌(大阪国公書記長)
  川辺和宏(大阪医労連)
幹 事 大阪医労連・大阪国公・地域労連に加盟の主な労働組合に要請していきます。
事務局 全医労各支部、大阪医労連加盟の労働組合に要請していきます。
3)弁護団
松丸 正(堺法律事務所)
岩城 穣(あべの総合法律事務所)
原野早知子(大阪法律事務所)
有村とく子(女性共同法律事務所)
波多野 進(高麗橋法律事務所)
2、本事案の概要
(1) 勤務先 国立循環器病センター
大阪府吹田市藤白台5−7−1 電話:06-6833-5012(代)
(2) 被災者
 村上優子(昭和50年9月10日生、平成13年2月13日クモ膜下出血発症、同年3月10日死亡)
(3) 被災者の担当業務
  重傷、瀕死、高齢の患者の多い脳神経外科病棟(21名配置)での看護業務。
準夜2名深夜2名(手術日準夜3名)
−2月13日の病棟状況−(村上さんが倒れた日の日誌から)
・独歩(一人で自由に動けること)は患者39名中15名しかいなかった。その為、患者さんの移動、着替え、トイレ介助、床ずれ等を防ぐために2時間おきに行う体位変換に際し、患者さんの全体重を支えて移動などしなければならず、通常の看護業務に比べて肉体的負担が大きい。一時に力を入れることで血圧上昇を招くことは当然のことだ。
・「私の病棟は脳外科で2時間ごとに自分で体の向きを変えられない人の体の向きを変えに行かなければいけないんです。それが10人近くいるから、仕事の間、ずっとそれをしている気分です。」
【平成12年8月25日メール記録】
・先輩看護婦もぎっくり腰で倒れている
【10月17日メール記録】
・村上さんも腰を痛めており、鍼灸・整体の病院に行ってマッサージを受けていた。
【平成12年8月25日メール記録】
・11月から3月は寒い時期で患者が増える。特に12月から2月まで患者が一番増え看護業務も忙しい。2月13日は39床の満床であった。
(4) 業務実態
@ 瀕死や重傷、高齢の患者の生死に関わる看護による身体的、精神的負荷。
A 早出(7:00-15:30)、日勤(8:30-17:00)、遅出(11:00-19:30)、準夜(16:30-1:00)、深夜(0:30-9:00)の5つの勤務シフトのローテーションによる極めて不規則な勤務。
「今日は深夜明けだったんですが、さすがに今日は疲れたーって感じでした。だって、昨日(10月4日)の日勤が忙しくて、帰ったのは22時前でした。だから、寝る時間がほとんどなくってそのまま深夜に突入。もう始まったときからふらふらでしたね。」【10月5日メール記録】
B 超過勤務命令簿では、月に平均16時間の残業しかしていないことになっているが、実際には勤務開始前の情報収集、日勤・準夜・深夜勤務後の超勤、看護研究の準備、新人教育などにより拘束労働時間を基準にすると、倒れる前の1ヶ月の超勤時間は87時間53分であった。(さらに看護研究のために資料を持ち帰っていたことを考慮すると村上さんは「業務上の必要により発症前2ヶ月にわたって優に月100時間程度の超過勤務を行っていた」といえ、本件発症と業務との関連性が極めて強いと評価される)
本件の場合、被災者の残したメールの送信記録により、実際の労働時間が相当程度明らかになる。
3、これまでの経過
H9・  国立大阪病院付属助産看護学校を卒業 H9・4 勤務先に看護婦として就職
H13・ 2・13  遅出勤務(定時11時から19時30分)を21時30分ころ終了し、自宅に帰宅後、頭痛に見舞われ、同僚にその旨連絡、被災者の自宅に駆けつけた同僚が被災者の状態を見て救急車を呼び、勤務先の国立循環器病センターに入院
  2・14  手術を受ける
  3・10  破裂脳動脈瘤を原因とするくも膜下出血により死亡
  6・16  「過労死110番」に電話相談
H14・ 6・5  ご両親が、弁護団・支援団体立ち会いの中、国立循環器病センターにて
     厚生労働大臣(国家公務員災害補償法第3条の実施機関)に対し公務災害申請
  7・30  看護師・村上優子さんの過労死認定・裁判を支援する会設立総会
  7・31  国を相手取り、安全配慮義務違反で裁判所に提訴
  10・7  第1回法廷  宣伝行動
4、改善すべき深刻な問題点
@労働時間の適切な管理を推進する厚生労働省のお膝元での膨大なサービス残業
・他の国立病院においても前記したことと同様な勤務実態にある。
A看護師の人員不足、若年化の下での若者の過労死
・村上さんの病棟(脳外科)の平均年齢は婦長を含めても26歳。21人中5名が新人。・教育担当者の村上さんでさえ勤務経験は3年11ヶ月。
「けっこう働かされる病院なので、看護婦の入れ代わりが激しくって、就職はしやすかったです。今でも中途採用まで取り入れているくらいですから。勉強はできますが、あんまり長く働く病院ではないですね。看護婦の平均年齢、何と26歳なんですね。これ、婦長も入っているんだから、他の看護婦の年齢層は考えたら分かりますよね」
【村上メール記録】
B看護師が過労死する国立病院・医療現場で、利用する入院患者、市民の安全は確保されているか
5、これからの闘い
(1) 公務災害認定請求(行政手続)
(2) 国の安全配慮義務違反を裁判で認めさせる
6、予想される困難な闘い
@長時間、不規則、サービス残業が一般化しており村上優子さんが特別ではない
A労働時間を立証する資料がなく、逆に労働時間が少ないという公的な資料だけがある
B厚生労働省のお膝元での事件  強力な支援と世論の広がりがないと勝てない
7、国に対する損害賠償請求提訴の意義
@国家公務員で全国初の過労死損害賠償提訴
 国家公務員の過労死について、全国で初めての安全配慮義務違反にもとづく損害賠償請求の提訴である。
A労働者の過労死予防に責任を有する厚生労働省(国)に対する損害賠償請求
 被告は国であり、国立循環器病センターを所轄するのが厚生労働省となる。過労死の予防・補償について責任を有する厚生労働省が、自ら定めた過労死の認定基準に違背して、被災者に月約80時間の長時間労働をさせてきたことへの安全配慮義務違反を問う訴訟である。
B厚生労働省自らが、通達している「労働時間の適正な把握」を怠ったことの責任追及
 厚生労働省は平成13年4月6日基発第339号「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」を通達している。それによれば過重な長時間労働を防止する等のために、タイムレコーダーあるいは適正な自己申告制の運用によって、労働時間を適正に把握することを事業主に義務づけている。この義務は厚生労働省が隗より始めることが求められているのに、これを怠った同省の責任は重大である。
C医療現場の労働条件改善のために
 人の命と健康を守る病院では、深夜・交替勤務というそれ自体過重な勤務に加えて、被災者のような長時間の時間外労働が恒常化している。看護師の過労死の業務上(過労死)認定の判決は2件あるが、いずれも原告が勝訴している。看護師ら医療現場で働く人の労働条件改善の運動と結びついた訴訟と位置付けている。
8、「村上過労死認定 裁判を支援する会」からのお願い
支援組織として、下記のようなことを行っていく予定です。
@主張・立証への協力
・国立病院の看護業務の実態の紹介
・各種実態調査、アンケート
・関連規則とその遵守状況(労働基準、安全衛生)
A厚生労働省、裁判所への要請
・個人署名活動(対行政、対裁判所)
・法廷傍聴
B本件を広く知らせ、世論を喚起する
・ニュースの発行
・ホームページの開設
・国会議員に対する要請、国会での質問
・シンポジウム・学習会の開催、他の過労死「会」との交流
以上