<かもしかの会関西とは>
ノンスポンサードのボランティアグループです。

「かもしかの会関西」は、「野生動物と人間社会との共存」を課題に、1979年に発足したボランティアグループです。滋賀県甲賀市土山町でのニホンカモシカをはじめとする野生動物と林業との共存をめざした食害防除作業を中心に、機関誌「かもしか通信」の発行など、様々な活動を行っています。
代   表
高柳 敦
かもしかの会関西 
事 務 局
〒607-8083 京都市山科区竹鼻木ノ本町 2
京都山科ガーデンシティ 317  高柳 敦
Phone/Fax
075-502-4255

<食害問題とは>
 皆さんは「食害」という言葉を聞いたことがありますか?作物などを動物が食べてしまい、農林水産業従事者の方々が経済的な「被害」を受けるということです。この「被害」を防ぐために、毎年莫大な数の動物たちが「駆除」、つまり殺されています。これは特別 天然記念物であるニホンカモシカも例外ではありません。山に植えられたスギやヒノキの苗木、農作物を食べるため、年間1000頭前後が「駆除」され続けています。
 しかし動物の側に立ってみれば、「食害」は彼らが生きる糧を求めた結果にすぎません。平地から山地や遠洋へと活動範囲を広げてきた人間は、山を材木畑に、海を養殖池に変えてきました。野生動物と人間との緩衝地帯として機能していた里山もほとんど消え、奥山は山頂まで人工林になりました。野生動物はそこにいるだけで「害獣」とされ、やがて彼らが生きてゆく場所はなくなってしまうでしょう。

<私たちの活動>
 この現状に疑問を抱いた私たちは、地元の協力を得て食害の実態調査を始めました。カモシカが苗木をどの程度食べているか?、食べられた木は成長しないのか?、結果 は場所により様々でしたが、確かに苗木が全滅した例や、成長しても商品価値がない場合もありました。しかし、私たちが最もショックだったのは、日本の山村が過疎化し、林業を維持する人もいないという現実でした。
 「山は人間だけのものではない」と叫ぶのは簡単です。しかし、今の山村には「食害」を許容したり、野生動物と住み分ける余裕が無いのです。食害対策を行わなければ、山は放棄され、開発の手が入ってゆくのは明らかです。
 そこで、カモシカが生息できて食害も防げる手だてとして発案されたのが「ポリネット防除法」です。これはポリエチレン製の網を苗木にかけ、カモシカには苗木ではなく他の下草などを食べてもらおうというものです。この方法はかなりの防除効果が期待できる反面、着け外しする労力も必要になります。このため、人手の少ない地元にかわって、都会の人間が直接山に入ってその作業をしよう、というのが食害防除作業です。現在、一般から参加者を募って、年に4〜5回この作業を行っています。作業では他に、カモシカ観察会、植林、林業家の方々との意見交換などを行っており、都市と山村との交流の場ともなっています。皆さんもカモシカとカモシカのすむ山を、ぜひ見にいらしてください。そして、最前線の現場で、人と野生動物との共存を考えて見ませんか?。

(日本野鳥の会「野鳥」誌1996年7月号;立澤史郎)

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会の経緯

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