お箸の話

 箸は『古事記』『日本書紀』『万葉集』等にすでに登場する長い歴史をもつ生活道具です。
 語源を探ると「食と口との橋の意」あるいは「間に挟むの謂か」とあり、また「箸をはしと言うのは嘴(はし)なり…」とも記されています。
 箸はまた筋、筴、篋などと書き、波之、波志とも訓みました。箸を使うのは中国、朝鮮、韓国、ベトナム、そして日本ですが、日本以外では箸と匙(スプーン)をセットにして使うのに対し、純粋に箸だけを使うのは日本だけです。箸使いに高度な手先の器用さと敏感さが求められたのは事実で、日本独得の繊細な文化とも関連するものといえましょう。


神 箸

 

 箸は、弥生時代に中国大陸から伝来し、始めは、祭器として祭祀・儀式で神に食物を捧げる道具として使われていたようです。
  国や邑、或いは家や家人の寿福を祈る為、神霊が宿るとされる霊木が、新たに伐られ、神箸に使われました。
 今でも、ハレの日(正月、節句、その他の祭日、祝儀の日)の食事には、寿福を祈る為、神霊の来訪を期待して霊木で作られた新しい箸を使う習慣が、残っていることは御存知のところです。

お手元

割箸を「おてもと」といいます。これは「手もと箸」を丁寧に呼んだもの。
懐石料理の預鉢や八寸をはじめとして、日本料理の盛り鉢にはふつう取り箸が添えられますが、取り箸に対して、各自が使う箸が手もと箸。
正式な懐石料理や懐石風の料理の場合、取り箸にはみずみずしい青竹箸を、手もと箸には両端が細くなっている利休箸という種類の美しい杉割箸を用います。

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割箸の作法

割箸の種類

箸材

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